森の不思議をカタチに

森の営みの中で生まれる不思議な力、フィトンチッドをご存知でしょうか。植物の光合成によって生成される揮発性物質フィトンチッドは、殺菌、消臭、リラクゼーション(精神安定作用)など、私たちの暮らしに役立つ驚くべきパワーを持っています。この森の持つ不思議な力を、長年、研究しているのがフイルドサイエンスです。

FM KITAQ「ガイアの風」(2005年2月15日放送)

森の香りに秘められた力

森を歩くと、そのさわやかな香りに心やすらぎます。その空気は清々しく、都会のような臭気はありません。それは、樹草木の発するフィトンチッド*が、ニオイのもとになる動物の臭気や細菌の繁殖を抑制して空気を浄化したり、消臭作用を働かしているからです。また、フィトンチッドは、昆虫や動物に葉や茎を食べられないための摂食阻害作用、昆虫や微生物をよせつけない忌避作用、病原菌に感染しないための殺虫・殺菌作用など、植物それぞれの生育環境に応じた、実に様々な働きを持っています。

*1930年頃、ロシアの植物学者B.P.トーキン博士は高等植物が傷つくと、その周囲にいる細菌が死んでしまうことに気づき、植物が殺菌効果のある物質を出すという現象を発見しました。そして、「植物」という意味の「phyto(フィト)」と「殺す」という意味の「cide(チッド)」をあわせて、この揮発性物質をフィトンチッド(phytoncide)と名付けました。

仲間を守る、木々の作用

樹草木には、揮発性物質を主とするフィトンチッドだけでなく、他にも自らの生命を維持し、成長を助けるためのアレロパシー(他感作用)と呼ばれる作用を持っています。休耕地でよく見られるクローバーやレンゲソウにはアレロパシーの力で土壌を肥沃にする効果があることはよく知られています。さらにアレロパシーは、仲間に危険を知らせる働きもします。例えば、毛虫に襲われると、植物は毛虫の嫌がる成分を葉に蓄えて食べられないようにするのですが、同時に、隣の木にも、危険が迫っていることを知らせます。すると、驚くべきことに隣の木も葉を毛虫の嫌がる成分に変質させるのです。

森の恵みを取り戻したい

食物連鎖のピラミッドの中で、樹草木こそがすべての生態系を根底からささえる生命の源であるということが言えます。人間は、自分たちの住みやすい環境を化学の力で作りあげてきました。しかしそれは、自然がもたらす驚くべき恩恵から遠ざかってきた歴史でもあります。森の働きをもっと私たちの生活に活かすことによって、本来の人に優しい環境を取り戻したい。フイルドサイエンスは、そのような想いから、フィトンチッドやアレロパシ―という不思議な力を活かした製品開発に取り組んでいます。

森の生態系を守る 間伐材を活かして

日本は、森林が国土の68%を占めている世界でも有数の森林大国です。そして、その森林面積約2,500万ヘクタールの樹木の成長にあわせて日当たりを調整したり、良い木を選別する「間伐」や「枝打ち」は、そこで健全な樹木が育つために重要な作業となっています。同時に間伐材をいかに有効活用するか、それは日本の森林にとっても重要な課題となっているのです。フイルドサイエンスは、木曾ヒノキや青森ヒバなどさまざまな種類の間伐材を活用し、その芯・幹・皮・葉に至るすべての部位の精油と精水を無駄なく抽出し、フィトンチッドやアレロパシ―がもつ殺菌・消臭・防カビ・防虫作用などの有効成分で、人と環境にやさしい製品を作っています。